本記事は2022年2月時点の厚生労働省が定める雇用保険法の基準に従っております。
以降の法改正があった際の追加記事は作成しておりませんので、ご留意ください。
何となく会社を退職すると
失業保険だっけ?お金がもらえるって聞いたんだけど、よく分からない。
だから会社を退職するのってめんどくさそう・・・。
つーかそれってそもそもの話、もらわなあかんの?
という方に向けて本記事を作成いたしました。
また、失業保険のことを聞いたこともないという方に向けても書いています。
簡単に言うと、会社を退職すると、しばらくの間、国からお金がもらえるんです。
会社を退職後は、次の仕事が見つかるまで無職のため、お金がもらえませんよね。
よって、次の仕事が見つかるまでの生活をつなぐ手段としてお金がもらえます。
それを巷では失業保険と言い、管轄するハローワーク(厳密には厚生労働省)で手続きをするのですが、ハローワークでは基本手当と言っています。
どちらも同じ意味です。
本記事ではその失業保険を受け取るための準備編としてお話をいたします。
給付の条件
再就職を支援するための失業保険は誰でも受け取れるわけではありません。
以下の条件の方が失業保険を受け取ることが出来ます。
雇用保険に加入していた人
給与明細に「雇用保険料」というよくわからない項目がありませんか?
この記載があれば受け取ることが出来ます。
上記の給与明細に赤枠内の右側にある「雇用保険料」
こちらが記載されてればよいのですが、条件があります。
① 自己都合退職 → 離職日以前の2年間で、12カ月以上の雇用保険への
加入期間がある
② 会社都合退職 → 離職日以前の1年間で、6カ月以上の雇用保険への
加入期間がある
最低でも6ヶ月以上、雇用保険を払い続けないといけないので、入社から5か月以内に退職した場合は受給資格に満たないため、失業保険を受け取ることが出来ませんので、注意が必要です。
なお、②の会社都合退職とは例えば
・会社が倒産
・解雇
・一方的な減給
・パワハラ等
などが原因で離職に至った際に該当します。
積極的に就職しようという意識が必要
まず大前提として、失業保険を受け取るためには「失業」状態であることです。
そして、先ほども記載したように
「次の仕事が見つかるまでの生活をつなぐ手段」
ですので、「積極的に就職しようとする気持ち」と「いつでも就職できる能力(環境・健康状態)」があり、「積極的に求職活動を行っているにも関わらず、職業に就くことが出来ない状態」でないと受け取れないということです。
したがって、次のような状態であるとには、失業保険を給付されません。
① 病気や怪我のため、すぐに就職できない状況
(※労災保険の休業補償または健康保険の傷病手当金などの支給を受けている場合も含む)
② 妊娠・出産・育児のため、すぐには就職できないとき。
③ 定年などで退職して、しばらく休養しようと考えている
④ 結婚や親の介護等により、すぐには就職できないとき。
⑤ 自営業や個人事業主となった時(あるいはそう考えている)
⑥ 新しい仕事が見つかった時
⑦ 学業に専念する場合
などがあげられます。
とはいえ、それほど難しいことではありません。
先ほどの明細にも書いてあったように「雇用保険」を毎月支払っています。
失業保険を受給される資格を持っているので、もらって当たり前と考えましょう。
現に僕は「⑤」に該当しており、失業保険をすべて受け取ってから開業しております。
求職活動実績が必要
そして、仕事をするために「求職活動を活発にしています」という証拠を示すためには、ハローワークに行って求職活動実績を提出しなければいけません。
4週に一度、「認定日」という日にハローワークに行き、事前に預かった「失業認定申告書」に求職活動実績を作成して窓口に提出し、求職活動をしていてかつ、積極的に仕事を探していることを認めてもらえると、失業保険が給付されます。
回りくどく書いてしまいましたが、普通にやっときゃ普通にもらえます。
求職活動実績はおおまかには
① ハローワークの窓口で求職相談
職業相談・履歴書を見てもらう・職業訓練給付の相談や説明会参加など
② インターネットの求人サイトでエントリー
③ 会社で面接をする
内定や結果待ち・不採用・内定辞退
【※「求人を見た」は対象外 】
などの実績を「失業認定報告書」というものに記載しますが、①・②・③のいずれかを選んで2回、何らかのアクションを起こし、報告書に記載して窓口に提出します。
注意が必要なのは②のエントリーの場合です。
A社にエントリー1回、A社で面接1回ですと、合計で1回しかカウントされないため、2社以上での求職活動実績が必要です。
例えば
A社で1回エントリー、B社で1回エントリーで合計2回以上の求職活動実績
もちろん面接を受けても実績になります。
あとは③のように
・採用された時
・不採用だった場合
・辞退した時
なども求職活動実績になります。
そして、採用されて、その会社に就職すれば失業保険の給付は終了します。
すぐにハローワークに報告しましょう。
(黙っていると不正受給者の対象になります)
4週間の間に何かしらの行動や結果が出た場合に「求職活動実績1回」としてカウントされます。
この辺りは「失業保険を受け取るための求職活動実績の作り方と注意点」という記事の中に詳しく記載しております。
会社を退職してからの予定を考えておく
会社を退職した翌日に転職される方は失業保険の受け取りは出来ませんが、多くの方は
・退職してからしばらくゆっくりする
・退職後に転職活動をする
のどちらかではないでしょうか。
しかしながら、退職後、すぐに失業保険は給付されません。
また、離職から1年間であれば失業保険を受け取ることが出来ますが、それ以降は受給資格を失います。
問題は、いつから給付されるか。
いつから失業保険が給付される?
離職理由によって失業保険の受け取り開始時期が違ってきます。
① 会社都合による退職 → ハローワークで給付申請をしてから4週間後
② 懲戒解雇等による退職 → 〃 16週間後
③ 自己都合による退職 → 〃 12週間後
!退職理由は退職後に会社から送られてくる離職票に書いてあります!
会社都合での退職だとしても、実際にハローワークで失業保険が給付されるのは、最初の手続きをしてから少なくとも4週間後です。
ですので
すぐに失業保険はもらえない
ということは頭に入れておいた方が良いです。
よって、退職後、失業保険を受け取る予定の方は計画的に動く必要があります。
昨今はオンライン面談等、実際に対面せずに多くのことが可能な時代ですが、本件に関しては、ハローワークに実際に出向いて、失業中であることを認めてもらえないといけません。
僕は2022年1月末に会社を退職しましたが、会社から必要書類(後述)が送られてきて、すぐにハローワークに行って失業保険の給付申請をしました。
2022年2月22日にハローワークで給付申請をしてきましたので、僕の例でそれぞれの状況に合わせて表にしてみました。
どのような都合で会社を退職したかにより、失業保険が給付されるまでの日数が違います。
会社都合の退職であっても、ハローワークに初めて失業保険の受給申請に行ってから約1か月後に初回分が支給されます。
また、必要書類として離職票が必要です。
離職票は退職後、2週間程度で届きますが、その期間もあなどれません。
実際、僕は1月31日に退職しましたが、離職票が送られてきたのはちょうど3週間経過した2月21日でした。
(※自己都合退職です)
「おせーなー」と思いながらも急いで失業保険の申請をするために、翌日22日にハローワークに行って申請をしました。
ですので、場合によっては離職票が送られてくるのが1ヶ月程度かかる方もいるようですので、注意が必要です。
失業保険がいらない方は申請しなくてよい
失業保険の給付は任意ですので、いらないという方は申請しなくても良いです。
そして、退職した翌日から別の会社に転職することが決まっている方も受け取ることが出来ません。
また、退職後、しばらくゆっくりするつもりだけど、お金はいらないという方。
ですが、ちょっとの申請作業と求職活動実績を作るだけでお金がもらえますので、動いておいて損は無いかと思います。
どこで手続きをして何が必要か
住んでいる管轄にあるハローワークで申請するのだと思っていた自分が情けないです。
近いところでも失業保険の申請は出来る
お住いの管轄はあくまで地区を分かりやすく区切っただけですので、ご自身の家から近いことなどを理由に、管轄外のハローワークで失業保険の手続きをすることも可能です。
グーグルマップで「ハローワーク」で検索して近いところで申請しましょう。
ただし、一度申請してから、別のハローワークに変更して求職活動、あるいは失業保険の給付は出来ませんので、ご注意ください。
また、管轄のハローワークでの求職活動は、お住いの地域の求人が多かったりしますので、そのあたりも考えて選びましょう。
グーグルマップでハローワークで検索すると、たまに「ワークプラザ」や「〇〇出張所」などがヒットしますが、これはNGです。
求人が掲載されているところです。
ここでは失業保険の給付申請は出来ません。
出来るのは「ハローワーク〇〇」(〇〇は地名)です。
申請に必要なもの
① 離職票(1)及び(2)
② 写真(縦3㎝×横2.4㎝メートル)
③ マイナンバー・運転免許証・住民票のいずれか
(住民票は個人番号が記載されているもの)
④ 預金通帳またはキャッシュカード
⑤ 印鑑(おそらくいりません)
⑥ 船員手帳または船員保険失業保険証(船員だった方のみ)
① → 離職票の他に雇用保険資格喪失証明書や退職証明書も必要では無いかと思われる方もいるかもしれませんが、離職票(1)と(2)だけで良いです。
退職する会社には離職票を送ってくれと言えば良いですが、ご心配でしたら他の書類も言っておいて損は無いです。
② → マイナンバーカードがあれば写真は必要ありません。
しかし、4週に一度やってくる認定日にはマイナンバーカードの提出が窓口で必要になりますので、お忘れにならないよう、お気を付けください。
会社から離職票が送られてきたら
必ず内容を確認しましょう。
会社都合なのに、自己都合になっていたりしないか。
他に氏名、離職年月日、お住いの住所の確認もしましょう。
離職票はコピーを取っておこう
ハローワークに提出すると戻ってきません。
離職票は退職後に必要となる年金、健康保険の切り替え時に役所で必要になります。
ですので、年金と健康保険の切り替えを先に済ませてからハローワークに行くか、事前にコピーを取っておくことをお勧めします。
以下に離職票の見本を載せておきます。
まとめ
失業保険は次の仕事が決まるまでの生活を補填するものですが、一方で給付までの時間を要することから、事前の確認が最重要です。
安易に
退職して少ししたらいくらか分からないけどお金がもらえる(*^▽^*)
という簡単なものではありません。
今回は失業保険が給付されるための準備編ということで、いつから給付され、また、退職理由によって給付されるまでの期間が違ってくるというお話をいたしました。
昨今はインターネットで調べればわかることが多いですが、ある程度の知識は身についても、込み入ったことになってくると
ネットに書いてあったことと違う!
と、感じることもあります。
目に見えるものが正しいこともあれば、一方でそうではないこともありますので、十分な下調べと念入りな調査が必要かと思います。
ぜひこの機会に、退職後の次のステップに向けた足掛かりとしてお役に立てていただければ幸いです。
本日は以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。